2015年12月20日日曜日

【TORCH Vol.075】「スラムダンク勝利学 ~スポーツで勝つ、人生に勝つ!~」

渡部由佳

『ただ、がんばるだけでは意味がない![超ヒットバスケ漫画]『スラムダンク』のなかに必勝の秘密があった。スポーツで勝つ、人生に勝つ!

これは、今回お薦めする『スラムダンク勝利学』の〝帯″に書かれてあるコメントです。今から10年程前、仕事で悩んでいたときに、相談した友人から薦められて読んだのがこの本です。自分を変えたいけどなかなか変わることができず負のスパイラルに陥ってしまったときに、この本のおかげで自分自身を冷静に見つめなおすことができました。そして最近、その友人と久しぶりに会った時に当時の話題になり、ふとこの本を思い出しました。

以下は、第1章の冒頭にある言葉です。
『スラムダンク』は単にバスケットボールのマンガではありません。その中には我々スポーツ関係者が学ばなければならない貴重な考え方が、何気なくかつ数多く含まれているのです。その意味で、『スラムダンク』はきわめて奥が深く、バスケットボールを超えたスポーツ指導者、さらには人生の哲学書といっても過言ではありません。しかし、何気なく展開されているため、そのメッセージをくみ取るのは大変です。そこで、数々のスポーツチームや選手をサポートする立場の私が、スポーツ心理学のエッセンスを少々交えて、読者の方々に広く、その貴重な「勝利するための考え方」、「学ぶべき考え方」をご紹介します。

スポーツらしいスポーツをしていない私にでさえ響いてくる言葉がたくさんありましたので、体育大生のみなさんだからこそ、より身近な題材として「なるほど」と思う言葉がたくさんあるのかなと(勝手に)思い、お薦めとして挙げさせてもらいました。

そして、これこそがお薦めした一番の理由なのですが、この本は小説のようなものでなく、一つ一つ場面が区切られ、その場面ごとの漫画の挿し絵もありとても読みやすい本です。数日後に就活の面接があり、質問されるかもしれない「最近読んだ本」を慌てて探している…そんな時の応急処置としてもお薦めです。普段から本を読んでおくのが一番良いのですが、たとえばこの本の感想を自分の経験などと絡めることで自己PRに繋げたりと、意外と使えるのではないでしょうか。

 私自身は、川上弘美さんの作品が好きです。作品は表現が独特で好みは分かれると思いますが、私自身のうまく説明できない気持ちをぴたりと言い当てられる表現がよくあり、手元に残して繰り返し読むことも多いです。 ほかには〝帯買い″した本を読んでいます。ちなみに帯買いとは本の帯に書かれているコメントを見て選ぶことなのですが、もちろん当たり外れはあります。この〝帯″は、図書館の本ではなかなか見ることができないのですが(陳列時にはカバーとともに外されていることが多い)、地元の図書館では本の表紙裏に〝帯″が貼られていて、それを見ながら本を選べるため、何か読み物を探したいときはその図書館をよく利用していました。田舎の小さな図書館ですが「誰も借りてくれない本フェア」なども開催していました。仙台大学付属図書館も、学生読書ツアーを開催したり本のコメントを掲示したり(コメントに惹かれてその本を思わず手に取ることもよくあります)と、どちらの図書館もあちこちに工夫がしかけられている図書館です。

 話が脱線しましたので戻します。『スラムダンク勝利学』はみなさんにお薦めです。いつかどこかで思い出して読んでもらえると幸いです。

スラムダンク勝利学
著者 辻秀一(スポーツドクター)
発行所 株式会社 集英社インターナショナル
定価 本体1,000円+税

第1章       根性は正しく使う
第2章       自主的な目標設定をしよう!
第3章       目標達成への鍵は、理解と覚悟だ
第4章       心技体を変化させる
第5章       〝するべき事″をする
第6章       〝今″に生きる!
第7章       必ず自分に返ってくる!
第8章       良いところを見る
第9章       〝反省″と〝確認″は違う!
第10章     目標に向かって〝石″を置いていく
第11章     目標に〝情熱″を注ぐ
第12章     チームワークの条件とは?
第13章     本物のチームワークとは?
第14章     〝怒り″の感情をコントロールせよ!
第15章     あきらめは最大の敵である!
第16章     不安はどこからくるのか?
第17章     〝大丈夫″と言えること
第18章     感動を与えることの意味
第19章     休養がプラス思考を生む!
第20章     健康の意味を知る! !
第21章     〝3つのCと4つめのC
第22章     〝波を感じる″
第23章     コーチ(COACH)の資質
第24章     結果の捉え方こそ勝負の分かれ目なのだ!!
第25章     誰のため?
第26章     〝感謝すること″こそ勝利と一流への道