2019年9月28日土曜日

【TORCH Vol.116】第4次産業革命とインパクト 金 一坤



                       現代武道学科  講師  金 一坤



この書籍は、私が未来産業のトレンドを知るため、ふと、入手した一冊の本であり、4次産業革命が我々社会にもたらす多様なインパクトについて興味深く耽読できた。さらに、5年後である2024年までに革新される産業革命データを用いて語っているのでわかりやすい。

2020年度東京オリンピックを前に控えていて、最近、我々は「第4次産業革命」という言葉をよく耳にしているだろう。AIICT、5Gといった最先端技術の実現によって未来社会は生産、販売、消費といった経済活動に加え、健康、医療、公共サービス等の幅広い分野や、人々の働き方、ライフスタイルにも影響を与えると考えられる。 

しかしながら、「第4次産業革命」技術系の話をすると多くの人らは、それを別世界の話にしたり、また興味があっても、余りにも抽象的で難しく思い込んでしまい興味をなくしてしまうことも頻繁である。 

4次産業革命時代の到来にあたり、内閣府は第4次産業革命を、ICTの発達により、様々な経済活動等を逐一データ化し、そうしたビッグデータを、インターネット等を通じて集約した上で分析・活用することにより、新たな経済価値が生まれると述べている。また、AIにビッグデータを与えることにより、単なる情報解析だけでなく、複雑な判断を伴う労働やサービスの機械による提供が可能となるとともに、様々な社会問題等の解決に資することが期待できる。

つまり、社会全体でみると、高齢者にとっては、第4次産業革命の恩恵は相対的に大きいとみられる。具体的には、ウェアラブルによる健康管理、見守りサービスによる安心の提供、自動運転による配車サービスなど公共交通以外の移動手段の普及などにより、高齢者も活き活きと生活できる環境の整備が進むものと期待できる。









[1. 4次産業革命の技術革新のコア]




20161月に決定した「第5期科学技術基本計画」においては、「超スマート社会」、「Society 5.0」を打ち出している。少子高齢化が進む日本において、個人が活き活きと暮らせる豊かな社会を実現するためには、IoTの普及などにみられるシステム化やネットワーク化の取組を、ものづくり分野だけでなく、様々な分野に広げることにより、経済成長や健康長寿社会の形成等につなげ、人々に豊かさをもたらす超スマート社会実現に取り組んでいる。

この書籍はすでに4次産業革命は始まり、2024年に向けてデジタルトランズフォーメーション(デジタル転換技術社会) 変化が起きつつ、今まで認知出来なかったデジタル革命、eスポーツの台頭、次世代ITとしての宇宙ビジネス、農業革命となるAgritech(アグリテック)、産業用ドローンなどの革新技術がもたらす未来新産業について次のように語っている。



一つ目は、デジタル革命である。「デジタル革命」とは、デジタル技術を駆使して、継続的成長が可能な企業に生まれ変わることである。このミッションを実現するため、経営理念や哲学に則り、磨くべき事業に資源を集中させ、それ以外の事業は縮減させている。そして、社員の再教育し、再配置している。そこで今後、求められる人材は、デジタル技術を正しく理解し、正しく駆使できるデジタル人材でる。いわゆる多様なデジタル機器を使える「デジタルネイティブ」人材が必要とされていることである。果たして我々は腹をくくって、デジテル技術の勉強を始めようとしているだろうか。



二つ目は、台頭するeスポーツ産業である。「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指し、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称である。日本国内では、まだ認知が不十分でないものの、海外に目を向けると他のプロスポーツなどに引けを取らない人気を博している国もあるほど、急速に存在感が高まっている。すでに2018年アジア競技大会(ジャカルタ)では、デモンストレーション種目として採用され、2022年大会(中国)では正式にメダル種目として決定された。また、2024年に開催されるオリンピック・パラリンピックの新種目としても採用の検討をされており、世界中で盛り上がりを見せている。従って今後、かつてゲーム大国であった日本がeスポーツ大国となることも十分あり得るだろう。



三つ目は、次世代ITとしての宇宙ビジネスである。「宇宙ビジネス」は、人口衛星発射及び深宇宙探査などを目的として、今まで国の政府主導の色が濃い産業であった。しかし、2017年度から民間主導の宇宙ビジネスが活発なりつつ、ビジネス領域も拡大している。特にインターネット未普及地域におけるデータ通信ビジネスアは驚くほどのことである。世界全人口は約76億人(2017年度)のうち、インターネットに接続できない人々は約30億人以上存在していると報告されている。政策上、利用できない国・地域もあるが、多くの驚くにも十分なインフラが未整備の山岳地帯、砂漠などにおいて利用できていない。そのようななかで注目を集めているのが、衛星による通信ビジネスである。民間宇宙企業は沢山の衛星を打ち上げ、地球を取り囲ませて全世界どこでもインターネットがつながる環境づくりをしている。日本のソフトバンクグループをはじめ多くの企業が2020年サービス展開に取り組んでいる。果たして、来年になると全世界どこに行ってもインターネットがつながるだろうか?



四つ目は、農業の革命となるAgritech(アグリテック)である。Agritech(アグリテック)とは、農業(Agriculture)と技術(Technology)を組み合わせた造語である。

生産者の高齢化・減少による労働力不足を背景に農業分野とIT分野の融合は、無限の可能性を秘めており、かなり広範囲で使用されるのが現状である。例えば人工知能やIT、ロボティクスを始めとした最先端テクノロジーを農業に応用させ、効率的農業を目指す事を指す時もある。農業とITテクノロジーが重なり合う事業領域、IT技術に特化した農業分野のスタートアップをする事を指す時もある。またセンサー、ドローン、クラウド、モバイルデバイスを駆使した農業のIoT化も、アグリテックと捉える事ができるのである。



 五つ目は、産業用ドローンである。ここ数年の技術の革新で、空撮ホビー用に使われていたドローンが輸送、測量、空撮・監視、点検・検査、農業などの産業において様々な用途で活用されるようになってきた。政府主導でルールづくりも進んでおり、活用の機運は今後も高まっている。今後、ドローンは人を運ぶ「空飛ぶ車」へと役割が広がる可能性を秘めている。もはや地上ではない空で移動する時代がやってきているといっても過言ではない。



最後に、この本を読んで筆者は、第4次産業革命をさらに理解するようになり、第4次産業革命よって今まで各自機能していた銀行、新聞、メディア、生必品製造企業などのビジネスがいつの間からデジタル化され、直接その場所まで行かなくてもサービス享受が可能になっている。

今後、政府政策のように、2024年にはICT技術を用いて全てが可能となるデジテル時代に生まれ変わるだろる。

この書籍は、将来、社会安全・安心、スポーツ分野を目指す学生諸君にとって、未来社会の変化を参考にした上で、自分の進路決定に役立てればよい。










【参考資料】


内閣府、新たな産業変化への対応、https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html
野村総合研究所、「ITナビゲーター2019年版」、東京:東洋経済新報社、2018