2013年12月5日木曜日

【TORCH Vol.036】20代を後悔しないために

助教 髙橋陽介

 今回のブログを担当する、体育学科スポーツトレーナーコース助教の髙橋陽介です。仙台大学の教員としては、今年度で2年目となりますが、その前までは大学GTセンターの新助手として5年間勤めていました。その当時は、現在も教員と兼任しておりますが、明成高校男子バスケットボール部のアスレティックトレーナーとして、主に仙台市青葉区川平にある「明仙バスケラボ」に勤務していました。教員となった現在も、大学業務と高校バスケットボール部アスレティックトレーナーとして日々ばたばたと職務をこなしています。

 今回このブログの執筆依頼を受け、大学生の皆に何を伝えることができるのか色々と考えました。なぜなら、私は自分が大学生の時に人にアドバイスできるほど多くの本を読んではいなかったからです。高校生まではプロサッカー選手を目指し、部活動に明け暮れる毎日。そして、大学はアメリカへ留学をしたので、ゆっくりと文庫本や雑誌、漫画本などを読む時間がありませんでした。特にアメリカの大学に入学してからは、授業で使用する教科書と英英辞典を常に持ち歩きながら、図書館が閉まる午前0時まで勉強していたことを今でも鮮明に覚えています。これは、自慢と言うよりは、自分の要領の悪さや能力の無さを告白しています。私がアメリカで知り合った日本人留学生の中には、毎日そんなに遅くまで勉強することなく、しっかり自分の時間を確保して趣味を楽しむ人は何人もいました。私もそうすることができていれば、もっとアメリカでの留学生活を楽しむことができたかもしれません。

 私が教科書以外の本を好きで読むようになったのは、留学を終え日本へ帰国して仕事に就いてからです。すでに20代半ばを迎えていました。最初に興味を持ち読み始めた本は、「自己啓発」の種類の本でした。そして今回私が紹介したい本は、いくつか読んだ自己啓発本の1つで、大塚寿氏著書の「30代を後悔しない50のリスト」という本です。アメリカ留学中にアスレティックトレーナーの資格を取得するという夢を実現し、日本でその資格を活かせる職に就けた後、私はしばらく大きな夢や目標もないまま日々生活をしていた時期がありました。1つの大きな夢を叶え、次のステップが見つけ出せていない時でした。

 ある時、目的も無くふと書店に立ち寄ると、この本に目が止まりました。これまで教科書や参考書しか読む習慣のなかった私ですが、その時はなぜかこの本を自然と手に取っていました。今考えると、きっと30代になる前に自分を変えたいという気持ちがあったのだと思います。この本はとても読みやすい構成になっています。著者が、30代の10年間を失敗したと考えている人たちにリサーチをおこない、その失敗談をもとに、30代ですべきことを50のリストとしてまとめています。

 この本の中から、印象に残っているいくつかのリストを紹介したいと思います。1つ目は、「あらゆることにチャレンジする。新しい価値は真面目からは生まれない。」という文言です。これは、真面目である必要は無いと言っているのではありません。ここで言っていることは、言われたことをただコツコツとやっているだけでは、“新たな価値”をもたらすことができないと言っているのです。こういった「コツコツ型」は、自分の仕事に線引きをし、自分の仕事の効率だけを求めること多いのだそうです。しかし、30代では、無駄なことかもしれないと思っても、多くのことにチャレンジをし、自分の可能性や人脈を広げていくことが大切だといっています。

 2つ目は、「利己心は長期的にうまくいかない。利他の心が上昇気流をつくる」という文言を紹介します。利己的な人はうまくいっている時は表に出ないが、引き潮を迎えた時に利害で集まっていた人間関係がさーっと引き、誰もいなくなってしまうという教訓をここで説明しています。利他的にものを考える人は、長期的に巡り巡って自分に利が返ってくるということです。

 以上に2つの例をあげましたが、この本は50のリストですから、他に48個の文言があります。すべてが自分にとってためになる話ではないかもしれません。しかし、それで良いと思います。自分が賛同することや納得いくことを探し、自分なりに噛み砕いて吸収していくことが重要だと思います。私は、20代半ばの時にこの本と出会いました。この本が出版された後に、大塚寿氏は「20代を後悔しない50のリスト」という本も出版していると思います。私はその本を読んだことはありません。しかし、大学生の皆はまだ10代後半から20代前半。在学中に機会があれば読んでみてはどうでしょうか?何か新しい発見があるかもしれませんね。

 私は、教員という立場で教壇に立ち、このブログも執筆していますが、他の先生方と比べるとまだまだ未熟な人間です。時に、大学生の皆に授業をすることは自分にとってまだ早いのではないかと思うこともあります。ですから、私も現状に満足せず、これから自分を高めていくために日々考え、努力を続けていこうと思います。