2024年3月17日日曜日

【TORCH Vol.148】「私の情報行動の変化と図書館」

               スポーツ情報マスメディア学科 教授 齋藤長行


近年、私の情報行動は変化しました。特に、ここ2、3年は、デジタル・インターフェースが高度にユーザー・フレンドリーになっていることから、私にとってデジタル・ディバイスは重要な情報源へのアクセス経路となっています。私は、寝ている時と、トレーニングをしている時以外のほとんどの時間は、デジタル・ディバイスに触れているのではないかと思うくらいです。

この様に、私はデジタル・ディバイスのヘビーユーザーだと自負しているのですが、実は大の図書館好きです。週に2、3回は図書館で時間を過ごしています。と言っても、小説、新聞やルポライター記事を読むのではなく、もっぱら図書館に設置されたフリーアドレスの机の上で論文を書いています。

ただ、図書館での時間の過ごし方(論文の書き方)も様変わりしました。5、6年前までは、図書館に設置された机に図書資料を山積して、それらを片っ端から読み漁り、重要個所に付箋を貼るなどして情報を整理・分類し、それらを基に論文を書いていました。

それが現在では、図書館に自分のデジタル・ディバイスを持ち込んで、スクリーンに映し出されている情報を読み解き、それらを発想の起点として論文執筆に活用しています。紙で読むという行為の頻度がかなり減りました。

さらに、ここ最近の私の情報の変化は、「読む」前に「聴く」という行動を行うようになりました。具体的には、書籍を「読む」前に、最初に電子書籍の音声読み上げ機能を使って、全体の内容を聴き取ります。最初の段階の「聴く」においては、重要個所に電子付箋を貼るようにしています。そしてその後の「読む」という段階において、電子付箋を貼った個所を入念に「読み返す」という行動をとっています。

 この様に私の活字を読むという行動は変化しています。しかし、そのような情報行動をしているにもかかわらず、公共の場としての図書館の重要性は、なんら変わっていません。おそらく、図書館の落ち着いた雰囲気や、本の匂いが好きなのかもしれません。

情報を得るという行動様式は変わっても、知を生み出す場としての図書館の役割は変わらないのだと思います。