2024年12月12日木曜日

【TORCH Vol.150】『ありがとうの神様』「神様が味方をする71の習慣」(ダイヤモンド社) ~人生の悩みを解決する法則と方程式とは?~

 スポーツ栄養学科 教授 石澤 浩二

ここ8年ほどずっと愛読したり、愛聴したりしているものがあります。それは、斎藤一人氏と小林正観氏の書籍と話(YouTube等)です。お二人には、出逢いがもっと早ければと思うこともありますが、前職場の定年を終え、この人性の折り返し地点にある時にこそ、お二人に出会えたことを、天に感謝しています。
 基本的にお二人共、共通する考え方が多く、どちらもその道で大変な成功を納めており、誰にも当てはまる教えなのですが、特に斎藤一人さんはビジネスマンや商売人向けで、小林正観さんは万人向けであると感じます。

 今回は、特に小林正観さんに焦点を当てます。小林氏の教えを読むことで、人生観ががらりと変わる方も多いと思いますが、読みやすい、興味のある個所から気軽に読んでみてください。すると、私のようにその日から、人生の重荷がやけに軽く感じられるようになるかも知れません。仕事で、学業で、人生で行き詰まった時にも読むのに最適です。

小林氏は1948年東京生まれ。中央大学法学部卒。心理学博士、教育学博士、社会学博士。心学研究家、コンセプター、デザイナー。SKPブランドオーナー。2011 年没。亡くなる直前まで年間300回ほどの講演を毎年開催。小林氏は元々、無神論で、唯物論者で、努力至上主義の塊のような方でした。それは、当時、最も受験生の多い大学で偏差値最高にある中央大学法学部合格卒業であることからも垣間見られます。
 そんな小林正観氏が、40年の研究を通して、人生の法則や方程式を発見し、神様の存在を知るようになっていきます。人生の後半で、上記のような無茶苦茶な努力は無用とまで唱えます。彼の発見した数々の法則や方程式には、腑に落ち過ぎて驚かされます。人生のモノの見方・考え方を改めさせてくれます。

 冒頭の『ありがとうの神様』はこれまでベストセラーになった小林氏の数々の書物のエッセンスをまとめた「ベスト•メッセージ集」と言われています。数々の珠玉の法則が並んでいます。正に、人生で挫折したり、失敗したり、問題を抱えたりした時に、悟りと癒やしと希望を与えてくれるものばかりです。また、若い学生の皆さんが読むのには、人生の転ばぬ先の杖となることでしょう。


 私がなるほどと納得した71の習慣、法則からほんの一部をシェアします。

1「ありがとう」を言い続けると、また「ありがとう」と言いたくなる現象が降ってくる

宇宙では、「その人がいつも言っている言葉」が「その人の好きな言葉だろう」と思って、「もっとたくさん言わせて、喜ばせてあげたい」という法則が働いています。

神様は、「その言葉がそんなに好きなのなら、その言葉を言いたくなるような現象を用意してあげよう」という働きかけをはじめるらしいのです。(略)「神様」は宇宙法則の番人です。「否定的な言葉を言う人には否定的な現象を、肯定的な言葉を言う人には肯定的な現象を降られている」のです。(略)たくさんの「ありがとう」を口にするだけで、「神様の力」を自由に味方につけることができそうです。

 

2 幸も不幸も存在しない。そう思う「心」があるだけ(「幸せの本質」とは)

 「幸せ」は個人にのみ帰属するものです。「幸せの本体」がどこかにあるのではなく、私が「幸せ」と思えば「幸せ」に、「不幸」と思えば「不幸」になります。(略)すべての人が、「幸せだ」と言える出来事や現象があるのではなく、自分が「幸せだ」と思った瞬間に、そう思った人にだけ「幸せ」が生じるのです。(略)

 目が見える。耳が聞こえる。呼吸ができる。言葉が発せられる。手でものを持つことができる。自分の足で歩ける。携帯で会話できる。家族がいる•••と、いろいろなものに幸せを感じようと思えば、1秒に数十個の幸せを感じることさえできるでしょう。(略)毎秒毎秒毎秒毎秒、「私」が幸せだと思うすべてのことが、「私」にとっての幸せになります。

 

 その他に、「人間関係」、「仕事」、「お金」、「子ども」、「病気」、「運」、「イライラ」、「男女」などすべての悩みが解決する習慣や法則が満載です。

 ここまで読んでくださった皆様に、ありがとう!

2024年12月11日水曜日

【TORCH Vol.149】「雨の日は図書館で自然と出会おう」

子ども運動教育学科 講師 庄子佳吾 


私は子どもたちの自然体験・野外教育を研究テーマとしていますが、ある日の野外活動で、5歳の女の子が雨上がりの森で不思議そうな表情を見せました。「木の葉っぱから水が落ちてくるの、なんで?」

その瞬間、子どもたちの「なぜ?」という純粋な疑問が、どれほど貴重な学びの機会となるかを実感しました。しかし、現代の子どもたちは、そもそもそんな「なぜ?」に出会う機会が少なくなっているように感じます。

 

今回は、「子どもと自然」についての理解を深める手がかりとして、私の研究と実践に大きな影響を与えた本をご紹介したいと思います。

 

1冊目は、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』です。「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではない著者のこの言葉は、私たちに重要な示唆を与えてくれます。この本は、子どもたちの感性をいかに育むか、その本質的な意味を考えさせてくれます。

カーソンは本書で、自身の甥とともに過ごした自然体験を生き生きと描いています。夜の浜辺を歩き、波の音を聴き、星空を見上げ、潮の香りを感じる。そんな何気ない体験の中に、実は豊かな学びが潜んでいることを教えてくれます。

著者は「センス・オブ・ワンダー」について、次のように述べています。「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちています。私たち大人が『センス・オブ・ワンダー』この神秘さや不思議さに目を見はる感性を持ちつづけ、子どもたちと共有できれば、きっと喜びは倍増するでしょう。」

 

私のゼミでは、この本をきっかけに、キャンパス内で「子どもの目線」になって自然観察を行う活動を始めました。例えば、地面に寝転がって空を見上げ、木々の葉の重なりが作り出す光と影の美しさを観察します。また、アリの行列をじっくりと観察し、その緻密な社会性に目を向けます。普段は見過ごしてしまう小さな草花や虫たちの存在に、新鮮な驚きを持って気づくことができるのです。

 

もう1冊は、佐々木正人の『アフォーダンス新しい認知の理論』です。この本は、人間と環境の関係性について、新しい視点を提供してくれます。「アフォーダンス」とは、環境が動物に提供する「行為の可能性」のことを指します。

例えば、子どもたちが自然の中で見せる様々な行動。木に登りたがったり、石を投げたがったり。本書では、そういった行動を単なる「危険な行為」として禁止するのではなく、子どもの発達にとって重要な意味を持つ環境との対話として捉え直すことの重要性を説いています。

 

佐々木は本書で、「環境のなかの情報は、知覚する人(動物)の身体的な特性と相対的な関係にある」と述べています。子どもにとって木の枝は「登れる」もの、石は「投げられる」ものとして知覚される。それは単なる物理的な特性ではなく、子どもと環境との間に生まれる関係性なのです。

これら2冊に共通するのは、自然を「教える」のではなく、自然と「出会う」ことの大切さです。先ほどの女の子の「なぜ?」も、まさにそんな自然との素直な出会いから生まれたものでした。

 

実は、図書館には自然との出会いのヒントが詰まっています。例えば、『センス・オブ・ワンダー』を読んだ後、実際にキャンパスの自然の中に出かけてみる。カーソンが描いたように、五感を澄ませて自然を感じてみる。または、『アフォーダンス』の視点から、自然の中での人々の行動を観察してみる。

 

最近では、スマートフォンやタブレットで手軽に情報を得られる時代になりました。しかし、紙の本には独特の魅力があります。ページをめくるたびに香る紙の匂い、触れる感触、そして何より、私たちの想像力を刺激してくれる力。それは、自然体験と同じように、五感を通じた深い学びを提供してくれるのです。

自然と子どもたちの関係について考えるとき、私たちはともすれば「教育的な意義」や「学習効果」といった側面にばかり目を向けがちです。しかし、カーソンが教えてくれたように、本当に大切なのは、自然の不思議さや美しさに心を動かされる体験そのものなのかもしれません。

 

図書館には、自然との出会いを豊かにしてくれる本がたくさん眠っています。環境教育や野外教育に関する専門書から、自然観察の図鑑、詩人たちが綴った自然への思いまで、実に様々な本と出会うことができます。

皆さんも、図書館で借りた本を片手に、キャンパスの自然を観察してみませんか?たとえば、昼休みのわずか15分間でも、木陰でページをめくりながら小鳥のさえずりに耳を傾ける。そんなちょっとした実践から始めてみるのもいいでしょう。

雨の日は図書館で、晴れの日は自然の中で、豊かな体験を重ねていってください。そして、その体験をまた本を通じて深めていく。そんな学びの循環が、きっと皆さんの人生をより豊かなものにしてくれるはずです。