2014年6月25日水曜日

【TORCH Vol.054】 「心が晴れる時代小説、楽しみ方色々」

小池和幸

 肥満防止のために車通勤を止めて、電車通勤にしたころから通勤時間を利用して気分転換を目的に文庫本を読むことにしました。
 以前からなんとなくですが直木賞作家、山本一力の作品を一度読んでみようと思っていました。直木賞作品の「あかね空」を読んだことがきっかけで江戸を舞台にした時代小説にはまってしましました。山本一力の小説には江戸の職人が多く登場します。江戸の職人は皆一本気で義理堅く自分の仕事に対する矜持を忘れません。江戸で暮らす人たちの人情や職人気質な描写は読んでいてすがすがしさを感じます。せめて小説の世界だけでも潔い世の中であってほしい。なんと普段の私たちの暮らしは姑息で不誠実なのかと自戒することしばしばです。義理と人情そして人間愛・・・が満載です。読んだ後になんとなく救われた気持ちになります。人生に悩んだときに江戸時代に生きた人たちの正義や人を思いやり愛することに価値を見出す生き方が手本になるような気がします。

 最近、お亡くなりになりましたが、「利休をたずねよ」で直木賞を受賞した山本兼一の安土桃山城築城にまつわる信長と城づくりの職人親子らの物語「火天の城」を読んでから日本の城に興味を持つようになりました。以前から少々関心はありましたが、小説を読んで俄然、興味がわきました。城の設計図にあたる縄張りから建築様式、石垣の組み方など小説で啓発され趣味が広がります。出張先に城があれば何とか時間を捻出して足を運べないものかと思案します

 休日の天気の良い日は1時間、2時間、文庫本をデイバックに忍ばせてウォーキングをします。地下鉄やJRの路線沿いに歩きます。疲れたら電車に乗って容易に帰宅でるからです。歩いているといろいろな風景に出合います。結構小説に出てくる地名や建造物やその面影が残っています。ああ、ここがあの小説の舞台になったところか・・・これが老舗の〇〇屋?・・・本当に実在したんだ・・・などと思いを馳せることができます。

 余談ですが山本一力の小説には当時のお菓子や食べ物などの描写も多く登場します。日本酒も実在するご当地の銘柄のものが登場します。いかにも飲みたくなるよう。例えば、土佐の高知の「白牡丹」。高知から江戸に船で運ぶ間に船に揺られて味が一層うまくなる件があります。どうしても飲みたくなりました。休日に比較的大きな百貨店の地下に行って白牡丹をさがしてしまいました。

 時代小説。色々と楽しめています。