准教授 橋本智明
情報機器の発達及び情報通信技術の発達により,我々は,様々な情報表現が可能となったのと同時に,様々な情報にアクセス可能となった.新型コロナウィルスの登場により社会が混乱し,今でもその影響は続いている.近年では特にメタバースが注目を浴びており,メタバースを様々な企業が取り扱っている.そもそもメタバースという言葉は,1992年ニール・スティーブンソンの『Snow Crash』という小説の中で出現した言葉と言われている.その一節が以下である.
So Hiro's not actually here at all. He's in a
computer-generated universe that his computer is drawing onto his goggles and
pumping into his earphones. In the lingo, this imaginary place is known as the Metaverse.
Hiro spends a lot of time in the Metaverse.(Stephenson, Neal (1992). Snow Crash.
Bantam Books. p. 22)
メタバースは様々な可能性を含めて,様々な企業が参入し,開発が進められている.体育系大学という視点から考えると,メタバースとeスポーツとの関わりは無視することはできないだろう.岡嶋氏の著書の中でも,eスポーツに触れられており,eスポーツの効用として,スポーツにアクセスしにくい人々にもスポーツの参加の道が開かれていること,プロと初心者が同じフィールドで比較的簡単に安全に行えるなどを挙げている.「身体を動かすのがスポーツだ!」と言われる方もいると思うが,コントローラを使用すれば,身体の動きをコンピュータで認識できるようになっているため,メタバースでも身体を動かすことは可能である.メタバースが,これまでのスポーツの概念をどう変えていくのか,あるいはどう適応させていくのか,体育系大学に所属する教員としては考えていかなければならないことなのではないか.とりわけ,私のような情報に深く関わる人間としては,考えていかなければならないだろう.また,教育としての活用という面でもメタバースは様々な可能性がある.既に,仮想キャンパス,仮想教室での授業など実際に行われている.単なるオンライン授業とは異なり,その空間には仮想であれども人の存在が確認できる.私は,このような,教育面での活用についても興味があるため,今後技術的な面も含めて研究を進めていきたい.