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2012年9月25日火曜日
【寄稿】スポーツ雑誌レビュー&ブリーフィング<9月>
阿部篤志(仙台大学講師・スポーツ情報戦略)
<Pick Up>「トップアスリートをめぐる施策」和久貴洋(日本スポーツ振興センター情報・国際部情報・国際課課長)
和久は、この10年におけるトップスポーツの競技力向上に関する施策のキーワードは「革新(innovation)」「綜合(synthesis)」「選択と集中(focus & concentration)」であり、ライバルとの競争優位性を確保するために、いかに素早くインパクトある革新を生み、有効な資源を綜合し、集中投下するかという競い合いであったと総括しながら、トップスポーツの競技力向上施策の現状と将来展望を概観し、今後のより効果的な政策・施策立案のためにどのような情報やエビデンスを集積していく必要があるかについて検討する。
近年のトップスポーツにおける国際競争は、より高いパフォーマンス水準での僅差の競い合いであり、それを生み出す競争構造は、トレーニングの高度化やアスリート、コーチのフルタイム化、コーチングや強化活動の高品質化などからなる。この10年でその変化を生んだ世界の競技力向上施策の枠組みは「統括組織」の設置、「強化戦略プラン」の策定、「ナショナルプログラム」の開発などに整理でき、「この枠組みを逸脱するようなイノベーションはほとんど起こっていない」と和久は考察する。
その上で、今後のトップスポーツ施策に係る重要な国内外の動向やエビデンスについて、「オリンピック金メダルランキング及び金メダルシェア」「各国代表選手団を構成するアスリートの年齢構成」「メダルポテンシャルアスリートとメダル獲得成功率」「フルタイムアスリートのメダル獲得」などを示した上で、特にUKスポーツが2012年ロンドンオリンピックに向けて実施した「Mission 2012」(英国におけるトップアスリート育成や競技力向上の中核を担う競技団体の組織能力の向上を意図した取り組み)の事例を挙げ、今後のトップスポーツの競技力向上施策が「表層のイノベーション競争」から「深層の能力構築競争」へと転換すると和久は分析する。そして、今後における日本のトップスポーツ施策を検討する上で、組織能力や能力構築に係る情報やエビデンスの体系的な集積が必要であることを指摘する。
文責:阿部篤志
<雑誌特集リスト>
タイトル
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ID
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特集/主要トピックス
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Strength & Conditioning Journal Japan
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Vol.19 No.7, Aug/Sep 2012
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特集「「スポーツ基本法」に見るスポーツ指導者の存在」福永哲夫(鹿屋体育大学学長)
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月刊体育施設[スポーツファシリティーズ]
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8月号(第41巻10号)
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シンポジウム「スポーツ基本法の改正とわが国のスポーツ施設のあり方」野川春夫(順天堂大学スポーツ健康科学部学部長)
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体育科教育
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2010.10
第60巻10号
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特集「体育の常識を問い直す」:運動の特性、問題解決学習、学習観など
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Sports Japan
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Vol.3
2012 09-10
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第1特集「スポーツ新世紀」の国民体育大会、第2特集「今、なぜ武道なのか〜中学校の「武道必修化」を考える〜
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みんなのスポーツ
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No.386
2012 8・9
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特集「総合型クラブにおけるマネジメントと財務基盤の自立」
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体育の科学
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2012 Vol.62
9月号 |
特集「健康・スポーツ施策の動向」:和久「トップアスリートをめぐる施策」、海老原「文部科学省「スポーツコミュニティの形成促進」」ほか
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臨床スポーツ医学
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Vol.29
No.9 2012 |
特集「スポーツ栄養の最近の動向」:エリートアスリートに対する栄養管理、オーストラリアのスポーツ栄養事情ほか
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「雑誌レビュー&ブリーフィング」は、阿部ゼミの勉強の一環でやっている「情報ブリーフィング」の一つです。仙台大学付属図書館に所蔵されている、主に体育・スポーツ系の雑誌の特集や主要トピックスのタイトルを、毎月1回、さらっとレビューします。またその中でちょっと気になる話題について概略をブリーフィングします。雑誌情報を俯瞰する情報としてご活用いただき、気になる特集などがあれば、図書館の雑誌コーナーに行きましょう!
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